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新作紹介:「教授のおかしな妄想殺人」



 

ポップなフォントで描かれたポップな邦題、「教授のおかしな妄想殺人」からはウッディ・アレン監督特有の洒落たユーモアを彷彿させる印象を受けるが、原題は「irrational man(分別のない、理性を失った男)」である。

殺人計画を練ることで鬱状態から一転して健全で健康的な思考へと変わっていく教授は明らかに異常であるにもかかわらず、そう思わせないのがウディ・アレン監督の為せる技だろう。角度を変えてみれば、この殺人事件は「それほどのこと」ではないのだ。それはこの映画がコメディだからという訳ではなく、教授の思考が、殺す動機が実際にそういう側面を持つからだ。もちろん「悪人だからといって殺しても良いのか」ということを問う物語ではない。或いは教授が殺人計画を練り始めたことによって生きる活力を取り戻したことから「人生には目標が必要だ」という教訓を導くものでもない。だが同時にそれはどちらも別々のタイミングに普遍的なテーマとして議論されるものである。それを95分間のドラマの中でウッディは何でもないことのように、軽々しく作品のあらゆるところに織り込んでくる。観るものはたいへん忙しい。教授の行動の是非を判断するには更に難解なテーマについて考えなければいけなくなるからだ。

とはいえ、この作品はあくまでダーク・コメディであり、頭を空っぽにした状態で時折声をあげて笑いながら観ることのできる作品だ。この物語は善悪や是非を問うものではなく、教授のおかしな妄想を傍から観て笑うものである。見終わった後に、結局自分は教授の何に対して笑っていたのかを考えてみるのも面白いかもしれない。

 

 

監督:ウッディ・アレン
キャスト:
ホアキン・フェニックス
エマ・ストーン
パーカー・ポージー
ジェイミー・ブラックリー
ベッツィ・アイデム

原題:Irrational Man
製作年:2015年
配給:ロングライド
上映時間 :95分
公式HP:http://kyoju-mousou.com/

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