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新作紹介:「ムーンライト」

 自分の居場所を探し求める主人公の姿を映像美と情緒的な音楽で綴った「ムーンライト」は、北米で大ヒットを記録し、第74回ゴールデン・グローブ賞で作品賞(ドラマ部門)を受賞、第89回アカデミー賞では作品賞、監督賞など8部門にノミネートされ、本年度の賞レースを席巻している。

 本作は戯曲「In Moonlight Black Boys Look Blue」が原案となり、長編2作目となるバリー・ジェンキンス監督によって映画化された。

 

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不思議な映画だった。

主人公のシャロンとは国も人種も年齢も違えば、取り巻く環境もまったく違うというのに彼の内に秘めた様々な感情が痛いほどに伝わって来る。

彼は口数が少ないうえにその心情を表すナレーションも一切ない。シャロンの目を通して映し出される大人たち、友人、風景の数々とそれらを彩る音楽がただひたすら観客の想像力をかきたてる。

 

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本作は主人公の成長をめぐる3つの章に分かれていて、そのひとつひとつは決して長くはない。章をまたぐごとに彼は成長し、彼を取り巻く環境も少しずつ変化しているが、特定の何かが大きくクローズアップされることはなく、つらいことも幸せな瞬間も同じように淡々と同じ時間のなかで過ぎていく。

だから2章の終わりの"ある事件"の後、3章で姿を表したシャロンの容姿の変化に驚く人は多いだろう。

 

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3章でシャロンの容姿は大きく変化するが、その眼差しには見覚えがある。

バリー・ジェンキンス監督は3人のシャロンを決めるにあたり、同じ雰囲気を感じさせる目をもつ3人を探したという。大人になったシャロンの身体がいくら大きくなろうとも幼少期や少年期の頃と同じようにどこか孤独を湛えた目をしている。

 

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「ムーンライト」は何か教訓めいたことを言ったり疑問を投げかけるような作品でもなければ答えを求めるような作品でもない。まるで"映画"のようにハッピーエンド、あるいはバッドエンドのような結末があるわけでなく、これからも続いていく一人の人間の自己をめぐる人生の物語だ。

 

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「ムーンライト」

3月31日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開

配給:ファントム・フィルム

©2016 A24 Distribution, LLC

映画『ムーンライト』公式サイト

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