映画館でみた映画(クラッシュ 4K無修正版)
「『クラッシュ』みたことある?」という質問に対して、いつもわたしは「観たことあるよーあの車のやつでしょう」と答えていた。
間違いではない。しかし、今までわたしの頭に浮かんでいたのはポール・ハギスの『クラッシュ』だったのだ。
わたしと同年代ぐらいの人が指すのはポール・ハギスのそれである可能性が高く、質問者がちょっと年上の場合はデヴィッド・クローネンバーグの『クラッシュ』を指している確率が高い。
最近よく行くシネマート新宿で『クラッシュ 4K無修正版』の予告をみたとき、冒頭の質問が蘇る。わたしは勘違いをしていた可能性がある…。
ありがたいことに、はじめてのクローネンバーグ版『クラッシュ』を映画館で観ることができて、しかも無修正版。
原作者がJ・G・バラードというなかなか不思議なSFを書く人なのだが、そうか、これって広義のSFでもあるしそうでないともいえる…という面白い設定。
自動車事故を起こして以来、”そっち側”の人間になってしまった主人公が同じような境遇の人とつるむようになり、どんどん過激な方向へ向かっていくという話。
1996年の映画なのだが、終始退廃的な雰囲気が漂う。繰り返される不穏な音楽、雨のハイウェイ、そしてしつこいぐらいのカーセックス。
壊れたクルマから這い出て情事しているラストシーンはとてもよかった。
ヴォーンとのゴールイン描写は、けっこう衝撃的だった。同性同士がいきなりそれをし始めるのだが、なんといってもヴォーンである。ザ・肉体労働者!という風貌だし汗臭そうな、甘美・耽美から遠いところにいる彼がひいひい言って抱かれているのである。キャスティングが完璧。
しかし、とにかくクルマの描写とセックスシーンが多い。
原作を読んだという人にそう話すと、「だって原作もそうだもの。映画でどう表現するのかなと不思議だった」とのこと。
なるほど原作を読まねば。
ところで、クローネンバーグの最新作を調べたらまさかの『マップ・トゥ・ザ・スターズ』。観ようと思ってみのがしていた作品だった。アマプラでみてみよう。