日記2019~

こんにちは

映画館でみた映画(クラッシュ 4K無修正版)

「『クラッシュ』みたことある?」という質問に対して、いつもわたしは「観たことあるよーあの車のやつでしょう」と答えていた。

 

間違いではない。しかし、今までわたしの頭に浮かんでいたのはポール・ハギスの『クラッシュ』だったのだ。

わたしと同年代ぐらいの人が指すのはポール・ハギスのそれである可能性が高く、質問者がちょっと年上の場合はデヴィッド・クローネンバーグの『クラッシュ』を指している確率が高い。

 

最近よく行くシネマート新宿で『クラッシュ 4K無修正版』の予告をみたとき、冒頭の質問が蘇る。わたしは勘違いをしていた可能性がある…。

 

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ありがたいことに、はじめてのクローネンバーグ版『クラッシュ』を映画館で観ることができて、しかも無修正版。

 

原作者がJ・G・バラードというなかなか不思議なSFを書く人なのだが、そうか、これって広義のSFでもあるしそうでないともいえる…という面白い設定。

自動車事故を起こして以来、”そっち側”の人間になってしまった主人公が同じような境遇の人とつるむようになり、どんどん過激な方向へ向かっていくという話。

 

1996年の映画なのだが、終始退廃的な雰囲気が漂う。繰り返される不穏な音楽、雨のハイウェイ、そしてしつこいぐらいのカーセックス。

壊れたクルマから這い出て情事しているラストシーンはとてもよかった。

ヴォーンとのゴールイン描写は、けっこう衝撃的だった。同性同士がいきなりそれをし始めるのだが、なんといってもヴォーンである。ザ・肉体労働者!という風貌だし汗臭そうな、甘美・耽美から遠いところにいる彼がひいひい言って抱かれているのである。キャスティングが完璧。

 

しかし、とにかくクルマの描写とセックスシーンが多い。

原作を読んだという人にそう話すと、「だって原作もそうだもの。映画でどう表現するのかなと不思議だった」とのこと。

なるほど原作を読まねば。

 

ところで、クローネンバーグの最新作を調べたらまさかの『マップ・トゥ・ザ・スターズ』。観ようと思ってみのがしていた作品だった。アマプラでみてみよう。

 

マップ・トゥ・ザ・スターズ(字幕版)

マップ・トゥ・ザ・スターズ(字幕版)

  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: Prime Video
 

 

 

映画館でみた映画(天国にちがいない)

前回『はちどり』を観に行った際に映画館で偶然居合わせた友人が、「スレイマンの新作、あまり期待していなかったけどけっこう良かったよ」と言っていたので、新宿武蔵野館の水曜サービスデーを活用して『天国にちがいない』を観てきた。

 

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主役はパレスチナ人のエリア・スレイマン監督自身。ナザレ、パリ、ニューヨークと3つの都市をめぐるというただそれだけの話なのだが、今年みた映画のなかで上位に入るぐらいとても気に入った!

 

さいきん気づいたのだが、自分は「影」信者(?)みたいなところがあって、室内のシーンなどで影がどう映っているのかについ目がいくのだが、本作では序盤に室内でスレイマンが植物に水を与えるシーンがあり、その際の影の使い方がとても良いと思った。

というより、本編(の前にキリスト教のコメディっぽいエピソードが3分ぐらいある)が始まると、まずスレイマンが家の外にある石のベンチに腰掛けて煙草をくゆらせながら白濁色のお酒(ネットで検索したところ、「アラック」というものかもしれない)を飲んでいるのだが、これをみた瞬間「わたしもこういう生き方をしたい…」と強く思った。

ちなみにお酒といえば、後半あたりのパレスチナ人は変わっている、ふつうは忘れたいから酒を飲むのにパレスチナ人は忘れないために酒を飲む」というくだりが印象的だった。

 

いきなり読書の話になるが、わたしは普段エッセイをあまり読まない。作者のつくりあげた世界観のほうに興味があるのであって、その作者が何を考えているかなどは創作物を読めばそこからくみ取ることができるし、わざわざ作者の日常をみたいというふうにはあまり思わないのだ。

ただ、例外もいくつかあって、例えば森茉莉のように、エッセイなのに現実と妄想のはざまにあるような描き方をしているものは好きだ。

この映画はまさにそれと似ていて、監督の目を通してみる各国の様子を皮肉とユーモア、そしてときに感じる批判性をもって描いたエッセイのようでありながら、現実と創作のはざまにあるような画の見せ方、構図などどれをとっても素晴らしい。

レイマンが描く各国の印象をみていると、なんとなくパリは東京に似ているのかもしれないと思った。これは普段あまり感じないことなので新しい発見だった。

ぜひ東京も旅してもらいたいものだ…。

 

ところでこの映画のタイトル、『天国にちがいない』は原題が『It Must Be Heaven』なのでそのままではあるのだが…

「heaven」は英語だとすんなり受け入れられるのだが、日本語で「天国」と言われると、なぜかチープで楽観的な印象を受ける。予告編をみたときは良さそうだな、と思っていたが、どうしてもそこが引っ掛かっていたので、友人の後押しがなければ『クラッシュ』を優先して観に行っていたであろう。

『It Must Be Heaven』、実に哲学的で叙情的な良い映画だった。ことさら彼がパレスチナ人ということには触れないが、そのアイデンティティを感じさせるものを時折垣間見たように思う。

映画館でみた映画(はちどり)

去年、話題になっていた『はちどり』。

渋谷ユーロスペースで1日1回アンコール上映ということで観てきた。

 

数日前に、映画好きの友人も近々観に行く予定だと話していたのだが、上映後にばったり会った。

友人は本作についてどう思ったのだろうか、映画に詳しいのでそのうち話を聞きたいと思う…。

 

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主役のウニを演じるパク・ジフの清涼感がとにかく半端ない。

セミの鳴き声がけっこう入っているので季節は夏だろうし、中学生ってもっと汗びしゃびしゃなイメージなのだが汗ひとつかいていないし、凛としていて透明感もある。

 

以上、、、。

 

完全に好みの問題だと思うのだが、中盤まできたあたりで「最後までこの感じで終わるんだろうか?どうしよう…」という気もちになってしまった。

当時の社会的背景や、韓国という国の特徴を少女の目線を通してみてみる。兄の暴力や不仲な家庭環境(厳密にいうと不仲ではないんだろうけど家族仲良し!とも違う)、学力社会などなど、重苦しい問題が描かれるのだが、そこからクライマックスの橋の事故につながるまでの緊張感や衝撃が物足りなかった。

 

食卓シーンで食器の音が異様に大きかったけどあれは何か意味があるんだろうか?

食事が毎回品数多くて豪華だなと思った。

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