日記2019~

こんにちは

映画館で観た映画(すばらしき世界)

はじめてみた西川美和監督の作品は『ゆれる』だった。

好みの作風だったのだが、その後高い評価を得た『ディア・ドクター』や『永い言い訳』は観ていない…。

なんとなく「"いい話"っぽいなあ、苦手かも」という理由で無意識に敬遠していたのかもしれない。

 

そんななか、以前から気になっていた『ヤクザと家族 the Family』と同じタイミングで同じような設定の『すばらしき世界』が公開中だということを知り、どうせなら同日に観てしまおう!と思い立ち、インターバル10分間を挟んで立て続けにみてきた。

 

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10年ほど前、夜のお店でバイトをしていたことがある。

たまにヤクザの人も飲みに来ることがあったのだが、映画やドラマでみるような雰囲気とは違い、無茶なことを言ったり暴れたりなどすることはなく、それよりよっぽどたちの悪いサラリーマンの方が多かった。

とはいえ、彼らが酒を飲みながら話す内容は物騒なものもあって、やはり住む世界がちょっと違うんだなと感じた。それは芸能人と一般人の住む世界が違う、というのと同じようなニュアンスで。

役所広司演じる三上も、めったやたらに喧嘩をしたり酷いことをしたりするわけではないのだが、なにか筋が通らないことがあると激しく恫喝し場合によっては暴力を行使する。そんな彼をやはり怖いと思うし、我々とは違うんだなと思ってしまう。

いくら多様性を認める時代といっても、最低限のルールに則らなければいけないのは仕方のないことだ。三上もそれを分かって、やがて我々の住む世界に同化していくのだが…。

器用な人間ならば、自分を殺しすぎることなく、うまくやっていけたのだと思う。肉体的にも精神的にもついに三上は果ててしまうのだが、こちら側に来るために一線を越えてしまう瞬間のショットには本当に度肝を抜かれた。というのも、その前にみた『ヤクザと家族』があまりにもつらい話だったので、それに比べると『すばらしき世界』は、やや生ぬるい感じがして、西川監督は優しいまなざしで描くのね、と油断していたところだったので、余計に「似てますね」の一言にがつーんと殴られてしまった。

 

本作は、佐木隆三の長編小説『身分帳』を原案としているらしい。こちらもぜひ読んでみたい。

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